FPが解説!ローンのあれこれ!誰もが気になるローンのあれやこれや
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ローンを検討するにあたり、誰もが気になる審査や金利のことなど・・。数あるローンの中から賢くローンを選ぶにあたり、ポイントをファイナンシャル・プランナーが分かりやすく丁寧に説明します!これを読めば、きっとあなたもローンの達人・・!?

第60回 住宅ローンの選び方とは?借り入れまでの流れや返済負担を減らす方法も解説 (2023年12月07日)

家とLOANの積み木、車の画像

住宅ローンを選ぶ際、どのようなポイントで選べば良いかがわからないという方も多いのではないでしょうか。
今回は、住宅ローンの選び方を項目別に解説したうえで、住宅ローンの借り入れまでの流れや返済負担を減らす方法、気を付けたいポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

住宅ローンの選び方4つのポイント

住宅ローンの選び方について、ポイントごとに解説します。

選び方1.金利体系で選ぶ

まずは、金利体系で選ぶ場合の選び方について紹介します。

変動金利型

変動金利型とは、市場金利の変化に応じて、借入期間中の適用金利が変わるタイプです。2023年時点では、一般的に固定金利よりも変動金利の方が低い状態で借り入れできる一方、金利が上昇した場合は返済額が多くなってしまう可能性もあります。

通常、金利の見直しは半年に1回行なわれますが、返済額が変更されるのは5年ごとのケースが一般的です。また、返済額が見直される場合、返済額はそれまでの返済額の1.25倍までを上限とするルールがあるため、返済負担が一気に増える心配はありません。

固定金利期間選択型

2年や3年、5年、10年と、自身で選択した期間に沿って金利が適用されるタイプです。金利が固定されている期間中は市場金利の影響を受けないため、安定的な返済を実現しやすいでしょう。

ただし、金利は変動金利型よりも高い水準になる傾向があります。

固定期間が終わると、変動金利型へ移行するか、再び固定金利期間選択型にするかを選べます。

全期間固定金利型

住宅ローンの借入期間中の金利が固定されるタイプです。毎月の返済額が確定しているため返済計画を立てやすく、金利上昇の影響を受けないメリットがあります。

一方、その他の金利体系に比べると、金利が高い水準となる点はデメリットです。仮に市場金利が下降していても、適用金利は契約当初から変動しません。

なお、住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査」によると、2023年4月の調査時点で最も利用者が多いのは変動金利型で、割合は72.3%です。次いで、固定金利期間選択型の18.3%、全期間固定金利型の9.3%という結果でした。

参考:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査」

選び方2.金融機関の種別で選ぶ

金融機関はいくつかの種類に分けられます。種類別の特徴を見ていきましょう。

都市銀行

全国の主要都市に支店を置いてサービスを提供している、普通銀行を指します。特に規模の大きな銀行は、メガバンクと呼ばれます。

地方銀行・信用金庫

地域密着タイプの金融機関として、地方銀行と信用金庫が挙げられます。

地方銀行は銀行法に準拠した営利組織で、信用金庫は信用金庫法に準拠した非営利組織である点が異なります。

ネット銀行

ネット銀行は、大手の銀行に比べて住宅ローンの金利が低めであることが特徴です。スマートフォンやパソコンを使って、申込みから審査、契約手続をスムーズに行なえるため、忙しくてまとまった時間を取りづらい方も便利に利用できます。

選び方3.住宅ローンの種類で選ぶ

続いて、住宅ローンの種類とその特徴を紹介します。

民間ローン

民間の金融機関が融資する住宅ローンです。

金融機関によって金利やキャンペーン内容に違いがあるため、自身の借り入れに適した住宅ローンを選びやすいことが特徴です。

公的ローン

公的機関が融資する住宅ローンで、おもな種類としては以下の2つが挙げられます。

種類 特徴
財形住宅融資 ・住宅金融支援機構が提供している制度
・基本条件として、借入申込日前 2 年以内に財形貯蓄の預け入れを行なっており、一般財形貯蓄・財形年金貯蓄・財形住宅貯蓄のいずれかを1年以上継続し、財形貯蓄が50万円以上あるなどの条件を満たす場合に利用できる
・5年間固定金利制で、借入期間中は5年ごとに適用金利が見直される
自治体融資 ・都道府県や市区町村が提供している制度で、内容は各自治体によって異なる
・住宅ローンの一部利息を援助する「利子補給制度」や、金利の優遇措置を施した「融資あっせん制度」がある

上記のとおり、公的ローンは契約者の条件が厳しく規定されており、自治体によって融資制度が異なっているなどの事情から、借入条件を満たさない方も多くいます。

フラット35

民間の金融機関と住宅金融支援機構が提携して融資するローンで、最長35年にわたって固定金利型で借り入れできることが特徴です。金融機関によって、住宅金融支援機構が住宅ローンの債権を買い取る「買取型」と、金融機関が住宅融資保険を住宅ローンに付ける「保証型」のどちらかを選べます。

なお、太陽光発電や高断熱材などを使い、省エネルギー性・創エネルギー性・断熱性のあるZEH住宅の場合、金利引き下げの対象となることもあります。

選び方4.返済方式で選ぶ

返済方式で選ぶ際に確認したいポイントは、以下のとおりです。

元利均等返済

返済期間中における元金と利息を含めた返済額が一定の方式で、返済計画を立てやすい利点があります。一方、返済開始当初は、利息の割合が多いことから、元金が減りにくい点には注意が必要です。

また、返済期間が同じ場合は、元金均等返済に比べると返済総額が多くなります。

元金均等返済

毎月返済する元金は一定で、利息分が変わる方式のため、返済が進むにつれて毎月の返済額が減っていくことが特徴です。元利均等返済と比べると元金の減るペースが速いため、元金均等返済のほうが返済総額は少なくなります。

ただし、返済当初は返済額が最も高いため、返済負担が大きくなりやすい点は留意しておきましょう。

住宅ローンの借り入れまでの流れ

家を前に2人の女性と1人の男性が話している画像

次に、住宅ローンの借り入れまでの流れについて、5つのステップで紹介します。

ステップ1.自身が借り入れできる金額を把握する

住宅ローンは、自身の借入希望額を必ず借り入れできるとは限りません。

一般的な年間返済額の目安は、年収に対して35%以内ですが、無理なく返済できる額は25%以内とされています。住宅を購入した際は、維持費として固定資産税・火災保険料・修繕費などもかかるため、余裕のある返済額に設定しておくと安心です。

ステップ2.金利体系や金融機関を選択する

自身の返済計画に見合った、金利体系や金融機関を選びましょう。先述のとおり、変動金利型の場合は金利が低い一方で将来的な金利上昇のリスクがあるなど、それぞれの金利体系によって特徴が異なります。

また、金融機関によって住宅ローンの保証料や繰上返済の手数料、基本付帯する保障内容には違いがあるため、しっかりと確認しておくことが大切です。

ステップ3.仮審査へ申込む

新築もしくは中古購入を検討している物件の見積もりが出た段階で、住宅ローンの仮審査(事前審査)へ申込みましょう。仮審査では、申告した内容をもとに対象物件の見積もりや収入状況と照らし合わせたうえで、返済能力をチェックされます。

ステップ4.本審査へ申込む

仮審査に通れば、物件を契約したのちに本審査への申込みを行ないましょう。簡易的な仮審査と異なり、複数の必要書類を提出しなければなりません。

金融機関によって審査期間に違いはありますが、1週間~3週間程度かかることが一般的です。万一、書類に不備があると、さらに審査に期間を要するので注意してください。

ステップ5.住宅ローンの契約をする

本審査に通過後、金融機関と住宅ローン契約書(金銭消費貸借契約書)を交わします。実際に融資が実行されるのは、物件引渡し日となるため、本審査に通過した段階の申込者情報と大きな変更が生じるような行動は控えておきましょう。

例えば、融資を受ける前に転職をして収入状況が変わっていたり、他のローンを利用して返済負担が増えていたりすると、融資が取り消しになるおそれもあります。

住宅ローンの返済負担を減らす方法

住宅ローンの返済負担を減らす方法を4つ紹介します。

住宅ローン減税を受ける

適用条件に当てはまれば、住宅ローン減税を受けることができ返済負担を減らせます。住宅の新築・取得、増改築などで住宅ローンを利用した場合、各年末における住宅ローンの借入残高の0.7%を、最大13年間にわたって所得税・住民税から控除されます。 新築の場合、この制度を利用する際は、おもに以下の要件を満たしている必要があります。

・住宅ローンを返済する期間が10年以上であること
・住宅ローン控除を受ける人自身が、住宅の引き渡し日または工事完了日から6ヵ月以内に居住開始すること
・住宅ローン控除を受ける年の12月31日まで居住を続けていること
・住宅ローン控除を受ける年の所得の合計金額が2,000万円以下であること
・住宅の床面積が50平方メートル以上で、床面積の2分の1以上が居住用であること
・(特例適用の場合は、床面積40平方メートル以上50平方メートル未満、年間の合計所得1,000万円以下)
・居住の開始年とその年の前後2年ずつを合わせた計5年間に、居住用財産の譲渡による長期譲渡所得の課税特例が適用されていないこと

また、条件に応じた借入限度額は以下のとおりです。

新築/既存など 住宅の環境性能など 借入限度額 控除期間
2022年・2023年入居 2024年・2025年入居
新築住宅
買取再販
長期優良住宅・低炭素住宅 5,000万円 4,500万円 13年間
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円 3,500万円
省エネ基準適合住宅 4,000万円 3,000万円
その他の住宅 3,000万円 0円
既存住宅 長期優良住宅・低炭素住宅
ZEH水準省エネ住宅
省エネ基準適合住宅
3,000万円 10年間
その他の住宅 2,000万円

参考:国土交通省「住宅ローン減税」

上表のとおり、入居する年や住宅の環境性能等の条件によって、住宅ローン減税が受けられる借入限度額は異なります。また、既存住宅の場合は控除期間が10年間となっている点に留意しておきましょう。

住宅取得資金贈与の非課税制度を利用する

父母や祖父母から住宅購入のために資金援助を受ける際、贈与税が非課税となります。省エネ等住宅とそれ以外の住宅で、非課税額は下表のように異なります。

資金非課税限度額
贈与の時期 住宅用の家屋の種類
省エネ等住宅 左記以外の住宅
2022年1月1日から 2023年12月31日まで 1,000万円 500万円

参考:国税庁「『住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税』等のあらまし」[pdf](令和4年5月)

なお、非課税の範囲内であったとしても、贈与税の申告は必要なので注意しましょう。

住宅ローンの借り換えをする

低金利の住宅ローンへ借り換えることで利息を軽減し毎月の返済額が減らせれば、家計の負担軽減につながります。なお、借り換えの際は、事務取扱手数料や登記費用などの諸費用がかかります。毎月の返済額だけではなく、諸費用も含めた返済総額も確認し、事前に借り換えメリットをチェックしておくことがポイントです。

繰上返済をする

繰上返済をすることで、返済総額や毎月の返済額の負担軽減が見込めます。繰上返済には以下の2つの種類があり、目的により選ぶようにしましょう。

種類 特徴
返済期間短縮型 ・毎月の返済額は一定
・借入当初よりも返済期間が短縮されるため、利息軽減効果が高い
返済額軽減型 ・毎月の返済額を減らせる
・返済期間は借入当初と変わらず、利息軽減効果は返済期間短縮型よりも低い

繰上返済と借り換えのどちらが負担をより軽減できるかは、ケースバイケースであるため、自身の借入状況と照らし合わせて確認することが重要です。また、繰上返済手数料のかかる契約の場合、手数料を考慮して試算するように注意してください。

住宅ローンを選ぶときに気を付けたい4つのポイント

握手をしている2人と家の模型の画像

住宅ローンを選ぶときに注意すべきポイントを解説します。

団体信用生命保険の保障内容

団体信用生命保険は、住宅ローンの返済期間中に契約人が死亡したり、高度障害となったりした場合に住宅ローンの借入残高が0円になる制度です。

その他、3大疾病に対する保障や、その他疾病に対する保障内容についてもチェックしておきましょう。保障内容が充実している住宅ローンであれば、万一の場合も安心です。

諸費用としてかかる内容

住宅ローンによっては、保証料や事務手数料の有無が異なるので事前に確認することが重要です。また、借り入れ後の繰上返済手数料などの有無も異なるため積極的に繰上返済をしようと考えている場合は注意してください。

中古物件購入時のリフォーム費用

中古物件を購入する際は、新築物件と異なり、リフォーム費用が発生するケースもあります。住宅ローンによっては、リフォーム費用も借入金額に含めることができ、別にリフォームローンを利用するよりも負担を軽減できます。

相談窓口の充実度

相談窓口の選択肢が多い金融機関であれば、希望する方法でじっくりと相談できます。具体的には店頭相談だけでなく電話やビデオ通話での相談も可能なら、スケジュールにも柔軟に合わせられるでしょう。

住宅ローンは、一生のなかでも大きな買い物である住宅購入をサポートするもので、納得できるまで丁寧に説明・対応してくれる金融機関を選ぶことをおすすめします。

まとめ

住宅ローンを選ぶ際は、金利体系や金融機関の種別、返済方式などで選ぶことがポイントです。

特に近年は、ネット銀行を選ぶことで適用金利が低くなるケースもあるので、金利は要チェックといえます。また、団体信用生命保険の保障内容についても確認しておくことで、自身に適した住宅ローンを選びやすくなります。住宅ローンを選ぶ際の参考に、ぜひイー・ローンを活用してみてください。

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文/赤上 直紀