FPが解説!ローンのあれこれ!誰もが気になるローンのあれやこれや
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第55回 住宅ローンに保証人は不要?必要なケースや保証人を立てる際の注意点 (2023年11月14日)

書類を書いている人と家の模型、朱肉の画像

住宅ローンの申込み時に保証人は必要なのか気になっている方もいるのではないでしょうか。また、そもそも保証人がどういうものかわからないという方や、保証人を立てる際の注意点を知りたい方もいると思います。
住宅ローンを利用する際は、原則保証人は不要です。しかし、保証人を立てなければならないケースも存在します。保証人を立てる際は、保証人に返済の負担がいく可能性があることや、保証人である相手との離婚や死亡した際のリスクがある点を留意しなくてはなりません。
そこでこの記事では、住宅ローンに保証人が原則不要である理由を解説していきます。また、保証人が必要なケースと併せて、保証人を立てる際の注意点などについても確認していきましょう。

住宅ローンに保証人は原則不要!その理由は?

保証人とは、住宅ローンを借り入れた本人が何らかの理由で返済できなくなった場合に、金融機関が貸し付けしたお金を回収できなくなるリスクを避けるために立てるものです。

ですが、住宅ローンを申込みする際、原則保証人は立てなくても問題ありません。その理由としては、大きく分けて以下の2つが挙げられます。

  • 理由1. 保証会社が保証人の代わりになるから
  • 理由2. 物件を担保として融資をするから

では、それぞれの理由について詳しくみていきましょう。

理由1.保証会社が保証人の代わりになるから

住宅ローンは融資金額が高額になるケースが多いため、以前は住宅ローンを利用するには、保証人を用意しなければならないのが一般的でした。

しかし、高額な借金を背負うことになる住宅ローンにおいては、保証人を見つけることが難しく、住宅ローンを活用しての住宅購入ができませんでした。そこで多くの金融機関は、保証人の代わりに保証会社を利用するようになりました。

保証会社とは、保証人の代わりを担ってくれる会社のことです。近年では、不動産購入に限らず、賃貸物件を借りる場合にも保証人の代わりに保証会社を利用するケースが増えています。

理由2.物件を担保として融資をするから

金融機関からすれば、融資したお金が返済されないのは避けたいところです。保証会社をつけない場合、購入物件を担保として融資をすれば、貸し倒れリスクを低減できます。返済が難しい状況になった場合は、住宅を売却してできたお金をローンの返済に充てることになるため、保証人を立てる必要がありません。

このように金融機関は、保証会社の保証と購入物件の担保によって、保証人不要で住宅ローンを融資できるというわけです。

保証人・連帯保証人・連帯債務者の違いを把握しておこう

書類とペンの画像

保証人とよく似た言葉に、「連帯保証人」や「連帯債務者」といった言葉があります。混同しがちな言葉ですが、それぞれ異なる義務が課せられるため、違いを把握しておくことが大切です。

以下では、それぞれの特徴を簡単にまとめました。

保証人 借り入れをした債務者が返済できなくなった際に、その債務の履行をする責任を負う者のこと。債務者に返済能力がある場合は返済を拒否することができ、連帯保証人よりも課せられる責任は軽い。
連帯保証人 借り入れをした債務者が返済できなくなった際に、その債務の履行をする責任を負う者のこと。債務者に返済能力がない場合でも返済を拒否することはできず、保証人よりも重い責任を課せられる。
連帯債務者 1つの住宅ローンの返済を一緒に行なっていく者のこと。

ここからは、保証人・連帯保証人・連帯債務者の違いについて解説していきます。

保証人と連帯保証人の違いとは?

保証人も連帯保証人も、借り入れた本人に代わって返済の責任を負うという点では同じです。両者の違いとしては、債務者に返済能力がある場合に返済を拒否できるかどうかにあります。

保証人は、債務者に返済能力がある場合に、返済を拒否することが可能です。しかし、連帯保証人は、債務者に返済能力がある場合でも、返済を拒否できません。

連帯債務者とは?

連帯債務者とは、主債務者とともに、1つの住宅ローンを一緒に返済していく人のことです。連帯債務者は、主債務者と同等の返済義務を負いますが、購入物件の所有権を主債務者と共有できます。

また、連帯債務者は金融機関と話し合って、どのように返済していくのかを決めることが可能です。例えば、夫婦で住宅ローンを契約する場合、夫と妻でそれぞれ決めた割合で返済金額を決められます。

ただし、連帯債務での借り入れに関しては、フラット35や一部民間金融機関のみの取り扱いのため、必ずしも連帯債務で借り入れられるわけではありません。

住宅ローンを利用する際に保証人が必要になるケースとは?

住宅ローンを利用する際は、保証人が原則不要とお伝えしましたが、場合によっては必要となるケースもあります。保証人が必要になるのは、おもに以下の4つのケースです。

  • 収入合算で住宅ローンを契約する場合
  • ペアローンで住宅ローンを契約する場合
  • 購入物件が共有名義の場合
  • 親名義の土地に住宅を建築する場合

ここからは、それぞれのケースについて具体的に解説していきます。

収入合算で住宅ローンを契約する場合

収入合算で住宅ローンを借り入れて住宅を購入する場合は、連帯保証人を立てなくてはなりません。収入合算とは、申込みをした方の収入に配偶者や親族などの収入を合算して、住宅ローンを利用する方法です。

収入合算で住宅ローンを契約する場合、契約する住宅ローンは1本となり、収入合算した方は連帯保証人になります。また、住宅ローン契約者と合算した方の収入を金融機関に報告しなければなりません。

ペアローンで住宅ローンを契約する場合

ペアローンとは、1つの物件に対して2人で住宅ローンを契約するローンのことです。それぞれが住宅ローンの契約をすることになるため、1つの物件に対して2つの住宅ローンを組みます。収入面に不安がある場合も、ペアローンを利用することで申込みやすくなるでしょう。

ただし、夫婦同士や親族同士などでペアローンを組む場合は、お互いの連帯保証人になる必要があります。もし、夫婦でペアローンを組んで夫が返済できなくなったら、妻が代わりに返済しなければなりません。

購入物件が共有名義の場合

購入した土地や物件が共有名義の場合、共有名義者も同等の責任を負うことが一般的です。そのため、代表者がローン名義人、共有名義者が連帯保証人として求められることが多いです。

親名義の土地に住宅を建築する場合

親名義の土地に子どもが住宅を建てる場合、建物だけでは担保として足りない場合が一般的です。そのため、土地の所有者である親が連帯保証人になるケースが多いです。

住宅ローンで連帯保証人を立てる際に注意すべきポイント

3つの家の模型と署名している男性、電卓の画像

住宅ローンで連帯保証人を立てる際は、いくつかの注意が必要です。おもに以下のようなことが挙げられます。
・連帯保証人に返済の負担がかかる可能性がある
・連帯保証人は住宅ローン控除が適用されない
・離婚しても連帯保証人からは外れない
・連帯保証人が死亡した場合の対処
ここからは、それぞれのケースについて具体的に解説していきます。

連帯保証人に返済の負担がかかる可能性がある

住宅ローン契約者が返済できなくなった場合、連帯保証人にその返済負担がのしかかります。このような場合、連帯保証人は契約者に代わって返済をし続けなくてはなりません。

残りの返済額すべてが連帯保証人に請求されるため、連帯保証人には金銭的にも精神的にも大きな負担がかかることになります。

連帯保証人は住宅ローン控除が適用されない

住宅ローン控除の対象になるのは、実際に住宅ローンを返済している契約者本人です。そのため、連帯保証人は、債務者と同等の返済義務を課せられますが、住宅ローン控除の対象にはなりません。

ただし、ペアローンを利用する場合は、それぞれが住宅ローン契約者となるため、どちらにも住宅ローン控除が適用されます。

離婚しても連帯保証人からは外れない

夫婦間で債務者と連帯保証人の関係になった場合、離婚してもその関係性は解消されません。

仮に、離婚協議で「離婚後は夫(または妻)が債務を負担する」といった取り決めをしたとしても、連帯保証人から外れることはありません。

連帯保証人が死亡した場合の対処

連帯保証人や保証人が亡くなった場合、債務は法定相続人が引き継ぎ、債務を相続した人が借金を背負います。しかし、法定相続人が相続時に相続放棄や限定承認して、債務を引き継がないことも珍しくありません。

また、収入合算して連帯保証人になった配偶者が死亡した場合、ローン契約者本人の返済義務は継続しますが、世帯収入が減るため返済に影響が出る可能性もあります。場合によっては、新たに連帯保証人を探すなどの対処も必要になるでしょう。

まとめ

住宅ローンを利用する際、保証人は原則不要ですが、以下のようなケースでは保証人が必要となるため注意が必要です。

  • 収入合算で住宅ローンを契約する場合
  • ペアローンで住宅ローンを契約する場合
  • 購入物件が共有名義の場合
  • 親名義の土地に住宅を建築する場合

また、保証人を立てたら、住宅ローンの契約者本人が返済できなくなった場合に、保証人に返済負担がのしかかるリスクがあります。

ほかにも、連帯保証人である配偶者と離婚した場合や、連帯保証人が死亡した場合のリスクなども考慮して住宅ローンの利用を検討すると良いでしょう。

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文/赤上 直紀