ローンの借り入れをした後も、返済額を少しでも減らしたいと思う方は多いのではないでしょうか。返済に余裕があるときは繰り上げ返済を行うことで支払総額を減らすことができるのでおすすめです。今回はフリーローンの繰り上げ返済をする上で注意すべきポイントを解説します。繰り上げ返済をするときに知っておきたいポイントやメリット、そして注意点をまとめました。ぜひお役立てください。
フリーローンの繰り上げ返済はお得?
借入限度額の範囲内であれば何度でも借り入れができるカードローンとは異なり、フリーローンは一括で借り入れしたら毎月返済をしていくだけの商品となります。「必要な分だけ借りてあとは計画的に返済したい」という方にとっては便利な商品です。事業資金以外であればお金の使い道を限定せず、まとまった金額を一括で借りることができるので利用している方も多いでしょう。
支払総額を減らすために、余裕な資金があるときに繰り上げ返済をして、できるだけ早めに返済を終わらせるといいでしょう。
ここでは、フリーローンの繰り上げ返済におけるメリットとデメリット、注意したいポイントを解説します。
フリーローンを繰り上げ返済する上で知っておきたいポイント
返済時期・返済金額に対する制限
繰り上げ返済とは、ローンの返済途中で通常の毎月の返済とは別にまとまった金額を臨時で返済することをいいます。多くの金融機関では、毎月の決まった返済とは別に繰り上げ返済や一括返済(繰り上げ完済)をすることができます。しかし、返済時期や返済金額について制限がある金融機関もあるので注意が必要です。
いつでも繰り上げ返済や一括返済(繰り上げ完済)ができる金融機関もあれば、できない金融機関もあります。また、1万円以上、10万円以上と返済金額の下限を設ける金融機関もあります。どのような方法でいくらから繰り上げ返済ができるのかについては、利用している金融機関に確認する必要があります。
手数料について
繰り上げ返済をするときに知っておきたいポイントの1つが手数料です。カードローンならいつでも好きなときにATMやインターネットの申込みにより自由に返済をすることができますが、フリーローンは手数料がかかる場合があるので注意が必要です。金融機関によって手数料がかかる場合とかからない場合がありますので、繰り上げ返済をするときには必ず手数料について確認しましょう。
フリーローンの繰り上げ返済のメリット
繰り上げ返済のメリットは以下の2点があげられます
- 返済総額を減らせる
- 早期完済ができる
フリーローンに限らず個人ローンの多くが、返済方法に元利均等返済方式を採用しているので、返済金額を単純に電卓で計算することはできません。はっきりいえることは、繰り上げ返済をすれば当初の返済期間よりも早く返済をすることになり、支払総額が少なくなることです。また、繰り上げ返済をすることで当初の返済予定よりも早く元金が減れば、支払利息の負担が抑えられます。
返済期間が短くなるほど、また返済元金が少なくなるほど、当然支払う利息は少なくなります。支払総額を少しでも減らしたいのであれば、お金に余裕があるときに繰り上げ返済をすることでお得になるでしょう。
フリーローンの繰り上げ返済のデメリット
繰り上げ返済のデメリットは以下の2点です。
- 手数料が高い場合がある。
- 少額の繰り上げ返済では意味がない
手数料がない金融機関もありますが、5,000円程度の手数料がかかる金融機関も多くあります。支払利息を減らすために何度も繰り上げ返済をすると、その都度手数料を支払うことになります。1回当たり5,000円でも、何度も繰り返すと高額の手数料になってしまうため、ある程度まとまった金額で繰り上げ返済をするのが効果的です。
また、少額の繰り上げ返済ではあまり意味がありません。仮に2万円いつもより多く返済しようと思っても、5,000円の手数料を支払っては元金が15,000円しか減らないことになります。金融機関によっては繰り上げ返済の金額を1万円や10万円からなどとする金融機関もあります。手数料がかかる場合は特に注意が必要です。
注意したいフリーローンの金利
金利についても気をつけたいポイントがあります。
金利によって損得を左右される
フリーローンを選ぶときに参考にするのは何といっても金利です。当然、金利の低いローンを誰もが選びたいと思うでしょう。それは、金利が低い方が支払利息は安くてお得になるからです。
繰り上げ返済をするときには、金利が高いか低いかによって損得が大きく左右されます。金利が高いほど支払利息が多くなるということは、逆に考えると、金利の高いローンほど繰り上げ返済をすれば、支払利息は安くなるということになります。したがって、金利が一番高いローンを優先して繰り上げ返済するのが鉄則です。
フリーローンの金利を年6%・9%・12%・14%などと段階的に設けて審査結果で決定する金融機関が多くあります。審査結果により思っていたよりも高い金利となってしまった場合には、なるべく早く返済が終わるように繰り上げ返済をすることを検討しましょう。
フリーローンの繰り上げ返済の手数料
フリーローンの繰上返済手数料の特徴として以下の2点があります。
繰上編返済手数料が無料の金融機関もある
繰上返済手数料を無料とする金融機関を探して利用するのも方法の1つです。金融機関を選ぶときに〇%から△%と金利に幅があって比較できないときには、最も高い金利で比較し、その中から手数料が無料の金融機関を選ぶのも良いでしょう。
手数料は利息扱いとなる(利息制限法の範囲でしか手数料を決定できない)
利息制限法3条(みなし利息)では「金銭を目的とする消費貸借に関し債権者の受ける元本以外の金銭は、礼金、割引金、手数料、調査料その他いかなる名義をもってするかを問わず、利息とみなす。」とあります。
つまり、利息制限法においては手数料も利息とみなされるので、手数料を含めて利息を計算すると利息制限法の上限金利に抵触する可能性が出てくるのです。そのため、金融機関は利息制限法で定められた範囲でしか、手数料を決定することができないということになります。
フリーローンの繰り上げ返済は計画的に
少しでも利息の支払いが少なくなるように手元資金をすべて繰り上げ返済の資金に充ててしまうことはおすすめできません。急な病気や冠婚葬祭、家や車の故障など万が一のときのためにある程度の資金は手元に残しておく必要があります。フリーローンの繰り上げ返済は計画的に行わなければなりません。
貯蓄に余裕がある場合は一括返済も検討
繰り上げ返済には「返済額軽減型」と「期間短縮型」の2通りの方法があります。
「返済額軽減型」とは、繰り上げ返済により毎月の返済額を軽減する方法で、「期間短縮型」とは、繰り上げ返済後の毎月の返済額は変えずに、その分返済期間を短縮する方法です。
どちらの方法も利息の支払いを抑える効果があります。その中でも「期間短縮型」は元金を減らすことに加え、返済期間も短くなるのでより支払総額が少なくなり効果的です。
一括返済(繰り上げ完済)とは、その名の通り、返済途中で残りの残高を一括で返済して、ローンを完済することです。手元資金に余裕があるなら一括返済(繰り上げ完済)によりローンを完済することを検討しても良いでしょう。
返済は計画的に
一例をあげて解説します。
通常返済の場合
月々の支払(円) | 支払総額(円) | 利息の支払総額(円) |
---|---|---|
43,871 | 1,052,913 | 52,913 |
一括返済した場合
月々の支払(円) | 支払総額(円) | 利息の支払総額(円) |
---|---|---|
43,871 | 1,038,928 | 38,928 |
繰り上げ返済した場合
月々の支払(円) | 支払総額(円) | 利息の支払総額(円) |
---|---|---|
18,189 | 1,044,726 | 44,726 |
(注意)シミュレーションソフトによって金額が多少異なることがあります。
100万円を5%、返済回数24回で借り入れした場合月々の返済は43,871円、利息の支払総額は52,913円となります。
1年後一括返済(繰り上げ完済)した場合には、利息の支払総額は当初借り入れをしたときからの1年分となりますので、38,928円です。この場合、約14,000円お得になることがわかります。
1年後30万円を繰り上げ返済したケースを見てみましょう。1年経過後の借入残高は約51万円になるのですが、30万円の繰り上げ返済をしたので、残りの約21万円を残りの返済期間12回で返済することになります。この場合、約8,000円お得になります。月々の支払いも約26,000円減少するので、「返済額軽減型」の繰り上げ返済をすることが、いかに効果的かがわかります。
繰り上げ返済や一括返済(繰り上げ完済)をすることは確かにお得ですが、返済により生活が苦しくなって他のローンを借りるようになっては意味がありません。くれぐれも注意して、計画的に返済するように心がけてください。
まとめ
繰り上げ返済は返済総額を減らして早期完済ができるメリットがありますが、手数料がかかる場合は注意が必要です。また、少額の繰り上げ返済ではあまり効果がなく、何度も繰り上げ返済をすると手数料が高額になる場合もあるため、ある程度まとまった金額で繰り上げ返済をした方が良いでしょう。
加えて、金利が高いほど繰り上げ返済の効果が高くなるので、金利が一番高いローンを優先して繰り上げ返済するのが鉄則です。
フリーローン選びのポイントは金利だけではなく手数料の有無も大切です。人気のフリーローンにおける金利の比較だけではなく、繰上返済手数料の有無についても調べてみましょう。
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文/加治 直樹